わたくし、何といっても歯医者、注射の類が大の苦手!
でも四年に一回位、口腔内のオーバーホールをしなければなりません。
只今治療中、、、いくつかのノンフィクションの通院場面に基づき、さらに
ミックスさせて皆さまにお伝え致します。

出演者 ①ビビり患者の私 ②やさしい先生殿 ③きれいな受付さん
     ④かわいい助手さん 特別出演の⑤家内   です。
尚、私の心の中の言葉は[・・・・]で表現致します。

はじまりはじまり。。。

[さて、今日は歯医者か。。10時だったよな。。フゥ~]と朝からテンションがやたらと低い。
おもむろに「よしそろっと行ってくる」と家内に。。今生の別れと言わんばかりに強張った表情で会社を出た。といっても、歯科医院まではわずか50m程。歩きながら心を整えようとするが、あっという間に玄関前まで来てしまった。。[よし、腹をくくって入ろう]。。。
恐怖のドア(私にとっては)

玄関ドアを開け、靴からスリッパに履き替える。。数人の患者さんが一斉にこちらを向いた。[。。この人たちも俺と同じコイになるのか。。。]
そして余裕があるかのように受付に診察券を出した。。受付さんが満面の笑みで「おはようございま~す」。。自分も「おはようございま~す」。。[おい、俺の笑みはひきつっているぞ]。。。

ソファーに腰掛け新聞を広げるが、実のところ文面は頭に入っていない。。名前が呼ばれるのを今か今かと恐る恐るに耳を傾けて待つだけである。眼は紙面に対し、ウロウロ動いているだけ。。。
すると、受付さんから「笠原さ~ん、、この診察券、娘さんの〇〇さんのなんですけど。。それと、今日の予約は10時半になっているんですが。。お待ちになりますか?」。。。
[ゲツ!俺としたことが。。どうしよう。。]・・・「すみません、すぐ近くなんで診察券を取りがてら、出直します。」・・・「そうですね~(プフ)」。。。

会社に戻ると、家内が「もう終わったの?」。。「いや~実は・・・」と失態をさらした。

「では、もう一度行ってくる」と家内に。。。「がんばってね~」って。。たしかにそのとおりだ。。。
この後は順調に事は運び、、、「笠原さ~ん、お待たせ致しました。こちらへどうぞ。」と
言われた瞬間、驚いたように立ちあがった。歩き始めたが手と足が一緒かと思うほど
ぎこちない。

診察台に座り、ヨダレ掛けなるものを付けられ「倒しますね~」と、私の視界に入らない助手さんの声でコイに変わってしまった。 [いよいよか、先生はまだ近づいていないぞ]。。
この待たされる時間も妙につらい。。するとスリッパの音が。。[来た来た、間違いない先生だ]。。。耳元で「笠原さん、口をあけてください・・フムフム・・では削ります」。。。
「せ、先生、痛くしないでください!」恥ずかしげもなく懇願。。助手さんはマスクで隠しているがきっと笑っているに違いない。クツクツ・・ク。。と

口の中なのに脳に響き渡るあの削る嫌な音。。。「笠原さん、もっと大きくあけれますか~」。。。私は口を大きくあけるのが大不得意。[できるなら、やってるよ]とクドキモード。
「痛かったら左手を上げてくださいね~」。。[今でも上げたいけど、しょうし~ろ]。。。
「はい、起こしま~す、ゆすいでくださ~い」。。。[フゥ~。やっとワンクール終了か。しんどいな]とブクブク、ペツっと。

第二クールの開始。。。「鼻でゆっくり息をしてくださいね」。。。大きく口をあけることで精一杯な状態で呼吸もままならない。。。[おっと、息をするの忘れてた。助手さんが心配するわけだな]。。。先生殿の削りが長くなってきた。。。[キツイぞ~。イタイぞ!もうどうにでもなれ!!]と。。。これがコイというものだ。

第三クール開始。。。「もう少しで終わりますからね。がんばってくださいね。」。。。[家内に言われた「がんばって!」はこのことだぜ。ほんとにもう少しなんでしょうね]。。。
「一度ゆすいでくださ~い」。。。[一度?まだ続くの?…もうおうちに帰りたい。。]

。。。終了のゴング「お疲れ様でした~!」の直後、「笠原さん、大丈夫ですか??」。。。まるで失神したのではないかと思われたようだ。。。一応「大丈夫です。」と。。。「次回はこれこれこう、しますからね。」と言われたら安心したのか、正気?を取り戻し、元気よく「ハイ!」。。[やった~、終わった~]。。。とコイから人間に戻った。。。診察台から降り、待合室へ戻る姿は、悠然と勝ち誇って歩く力士のようだ。

余裕シャクシャクの態度で、待合室のソファーに座り、再び新聞を広げる。。。なぜがいつも通り読めるから、、、自分でも笑ってしまう。
「笠原さ~ん。次回は〇日の10時ですが、大丈夫ですか?」。。。[今度は10時だな。二度の間違いはシャレにならんぞ。]...「大丈夫です」と今度の笑みは爽やかに。。できた。

帰り際、歯科医院のドアを開けた時、[今度の予約の日までは、歯医者の事は忘れよう!。。。いや、忘れたい、、、いや、忘れられるわけがない。。。]

おうちじゃなかった、会社に帰り家内に「行ってきたよ。思ったほど痛くなかった。」。。
「あら、よかったね~」。。。まるで、「貴ちゃん、おりこうさんね~、一人でよく行ってきたね。痛くなかった?よく我慢できたね。ご褒美に今日の夕食は貴ちゃんの好きなカレーにするからね。。(頭をナデナデ)」と繋がる小学生とその母親の会話のようであった。

おしまい。。。

皆さま、長時間に渡りお読み頂きありがとうございました。
さらに皆さま、歯は磨きましょう~ね。        次回をお楽しみに。